退職金から引かれた住民税は、別のものです
退職のときに給与からも、退職金からも住民税が引かれ、 さらに数か月後に納税通知書まで届く。 三重に取られているように見えますが、それぞれ対象が違う別の税です。 この混乱は地方税法第328条を見ると解けます。
出典確認日 2026-08-12
退職所得だけは、切り離して課税される
(略)当該退職手当等に係る所得割は、第三百十三条、第三百十四条の三及び 第三百十八条の規定にかかわらず、当該退職手当等に係る所得を他の所得と区分し、 本款に規定するところにより、当該退職手当等の支払を受けるべき日の属する年の 一月一日現在におけるその者の住所所在の市町村において課する。
地方税法 第328条(退職所得の課税の特例)/e-Gov法令検索(2026-08-12 取得)
注目したいのは「第三百十三条(略)の規定にかかわらず」「他の所得と区分し」という部分です。第313条は「前年の所得に課税する」という原則を定めた条文でした。 退職金についてはその原則を外し、前年ではなく、支払われるその時に、他の所得と切り離して課税すると定めています。これを分離課税といいます。
3つを並べると、混乱は解ける
| 引かれるもの | 何に対する税か | いつ | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 最後の給与からの天引き | 前年(またはさらに前の年)の給与などの所得に対する住民税の、 残っている月割額 | 退職時 | 第321条の5 |
| 退職金からの天引き | 退職金そのものに対する住民税(分離課税) | 退職金の支払時 | 第328条 |
| あとから届く納税通知書 | 退職した年を含む、前年の給与などの所得に対する住民税 | 翌年6月ごろ | 第313条・第318条 |
瑞浪市は、3月に退職した人からのまさに同じ質問に対して、こう答えています。 「3月に退職された時に一括で引かれた住民税(3・4・5月分)は、 前々年の1月から12月までの所得に対する住民税であり、 6月に送られてきた納税通知書は前年の1月から12月までの所得に対する住民税になります。」 そして「退職所得の住民税は、これとは別に退職金が支払われる際に天引きされます。」
つまり二重課税ではありません。対象になっている所得の「年」と「種類」が、3つとも違うだけです。
退職金の住民税は、このサイトでは扱いません
退職金に対する住民税は、勤続年数から求める退職所得控除額を差し引き、 原則としてその2分の1を課税対象とする、といった専用の計算式で決まります。 このサイトの守備範囲は、前年の所得に対する住民税が退職後どう徴収されるかだけです。
退職金そのものの手取りを知りたい場合は、姉妹サイトの 退職金手取りナビ が、国税庁の計算式にもとづいて退職所得控除・所得税・住民税・手取りを 段階ごとに表示します。